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★★ケア的主体をめぐる冒険的セルフドキュメント!★★
「ヤングケアラー」について取材をはじめた著者は、
度重なる困難の果てに中断を余儀なくされた。
一体ヤングケアラーとは誰なのか。
世界をどのように感受していて、具体的に何に困っているのか。
取材はいつの間にか、自らの記憶をたぐり寄せる旅に変わっていた。
ケアを成就できる主体とは、
あらかじめ固まることを禁じられ、自他の境界を横断してしまう人ではないか――。
著者はふたたび祈るように書きはじめた。【目次】
1 薄氷のような連帯
2 いちばん憎くて、いちばん愛している人
3 わたしが誰かわからない
4 わたしはなぜ書けないか
5 抱えきれない言葉の花束
6 固まることを禁じられた身体――ケア的主体とは何か
7 自己消滅と自己保存――水滴のように
8 犠牲と献身と生まれ変わり――自由へ【本文より】
ケアを成就できる主体というのは、あらかじめ固まることを禁じられ、環境によって変化する可塑性を持っているということではないか。
自分をとりかこむ輪郭線をいつでも崩れさせ、自己と他者の境界を横断することができる。
自己の固着という安心からいつでも離れられる無防備さというものが、ケア的主体の真価だろう。
【感想】
ケアする側から見た精神疾患の話で、いろんな立場にある人に読んで欲しいと思う本でした。
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