あらすじ
人として現れたのは、高校時代の元同級生で、ネイリスト兼実業家の黒塚菖蒲。相続トラブルを抱えた菖蒲のために、聡介はしばらく彼の家に同居することになる。華道の家元の息子で絶世の美少年だった菖蒲とは、かつて身体を慰め合った仲だった。大人になっても壮絶な色気を含んだ菖蒲の手は、爪先を朱色に染めて淫靡に聡介の身体を求めてくる。戸惑いながらも愛撫を受け入れてしまう聡介。その執着は年月と供に肥大し、強い独占欲を孕んでいるとも知らずに――。電子限定書き下ろしSSを収録!!
【感想】
ツイッターのタイムラインに流れてきた座裏屋蘭丸先生の病んだイラストが気になってすぐ読みたくて久しぶりにキンドルで購入。最近、甘くてキラキラしているお話を読むことが多かったのでこのお話を読んだ時の衝撃が凄かった✨攻め様の執着心が凄いよ。「掌の檻」のスピンオフなんだけど「掌の花」の方が好き。
菖蒲の執着心は容赦がない。聡介を手に入れるためにはありとあらゆる手段を取る。
『――――ウツギ、っていうんだよ。君と同じ名前だね』
すべては10年前から始まっていたのが怖いんだけど面白い。
聡介は陽の当たるところしか歩いたことがない子だから・・・・て叔父に心配されていたけど、その心配は的中して菖蒲に出会ったことで闇落ちよ。菖蒲の手の内でしか生きられない。菖蒲の執着心の一番怖いところは、聡介の周りの環境をすべては奪わない事。仕事もしてるし、人間関係も壊してはいないの。それでも菖蒲から出てくる毒のような魅力に絡めとられて、身動きできなくなって菖蒲の掌の上に墜ちてくる。
高校生のとき菖蒲の赤く塗られた指先をみたときから、もう逃げられないのは確定していたんじゃ・・・・?高校生の時の場面は手や指先に対する描写が印象的で、作者さんの「手」に対する拘りがすごいなぁと思いました。
私は普段の生活で他人の手を見るときは、ネイルのデザインの可愛さとか服装との統一感に意識が向くことが多いのですが、このお話を読んで「手」そのものに拘る見方もできるのだなぁと、新しい発見をしました。
読んだ本にすぐ影響されるので、新しいネイルポリッシュを買いました。
キンドルで買ってしまったので再読しやすいように紙本も買おうと思います。
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