木原先生の本の中で、もすごくインパクトのあるお話だったフラジールを読み返してました。最初に読んだの10年以上前で時間が経ってるのに内容ほとんど覚えてる不思議(笑)
衝撃あり過ぎたからだけど。
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あらすじ
大河内の人生は、バラバラに壊されてしまった。一人の男の手で―。才能あふれる部下・青池を嫌い、一方的に蔑ろにしてきた大河内。我慢の限界を迎えた青池は大河内に襲いかかるという事件を起こし、社を去っていく。目障りな存在がいなくなり安堵したのも束の間、ある夜、その青池が大河内の自宅で待ち構えていた…!大反響の雑誌掲載作に大量書き下ろしを収録。二人が踏み込んだ愛憎の迷路のたどり着く先は―。
【感想】
主人公の大河内(受け)は上司に媚びて出世していくコバンザメ野郎なのね。性格も良いとは、言えないんだけど・・・・攻めの青池は、一目惚れして(顔だけはいいから)大河内のことを好きになってしまう。 青池にとって、それが不幸の始まりだった。
青池はもともと仕事のできるタイプだったので上司でもある大河内に気に入られたくて、そりゃあもう必死になって企画出したりして仕事をこなすのよ、そ、れ、な、の、に、大河内は自分の可愛がっている部下の方を贔屓したあげく青池が持ってきた企画を部下に横流しする。それだけに留まらず青池はゲイであることを隠して生活していたのに、男とキスしていたっていうことを会社で、いろんな人のいるところで暴露される。
「知っているかな?犬でも同性とは交尾しないんだよ」
最低すぎる。大河内の仕打ちに青池も当然、ブチ切れて鋏を持って大河内に襲いかかってくる。殺されかかる大河内。
ここまでで、まだ30ページくらいなのに大河内の性格の悪さと青池がストレスMAXなの見てて辛い。でも読む手が止まらない(笑)
30ページにして歪みあっていて、もはや地獄の沙汰。
青池は会社を辞めることになって、大河内はあいつが居なくなってくれたとホッとしたのもつかの間の間で・・・・
深夜、大河内のマンションに青池が現れる。
自分が苛めまくってた奴がマンションに来たら超怖いよね(笑)
追い返す訳にもいかず部屋にいれるんだけど、ここからが本当の地獄の始まり(笑)
普通の会話をしていたはずなんだけど、だんだんと不穏な空気が漂い始める。そして、一回目の変態プレイが入ります。青池が「トイレにいきたいなー」と言って大河内に向かって方尿します。プレイというより散々苛められていたので、仕返しに嫌がらせ。青池曰く、どんな性交にもまさる快感だったそうな。(笑)嫌な奴への復讐が果たされた場面なので、読者としてはスッキリします。ここから苛めてた側と虐めらてた側が逆転しちゃいます。大河内が青池に怯え始めます。
木原先生は嫌〜な空気感を書くのが凄く上手いので、大河内のビビリっぷりも見どころ。
そして、見下していた奴に逆転されるところも書き方が上手い。
「あなたを飼ってもいいですか」
って青池が言い出すわけ。
普通のBLに出てきたなら、怖くないセリフじゃん。だけど、この二人は普通じゃないからね。この時点で歪み合ってるから本当に犬のようにして飼われるのよ。裸に首輪と鎖つけられて、服も着せてもらえないし、ありえない物をトッピングしたドッグフードも食わされる。大河内にとって地獄の生活がスタートする。
だけど、昼間は普通にスーツ着て会社に行って仕事をするっていう普通の生活もしているからさらに異常なかんじ。
読者はそんな異常な二重生活を体験できる。そんなお話です。
「家畜のように飼い殺してやる」
↑ここまでが、雑誌掲載されていた。「FRAGILE」です。後半からは、「ADDICT」という青池視点で進む話が書き下ろしで追加されていて監禁生活は続いていきます。ここでやっと二人の気持ちが少しずつ動いていきます。それでも甘い展開にはならず。嫌な気持ちになる場面が続く。読んでて本当に辛いわ・・・・
前に読んだときこんな気持ちにならなかった。続きが気になって一気読みしたんだけど今は「FRAGILE」だけでも良くない?もうお腹いっぱいだなーと思った。「FRAGILE」の続きが読者に委ねられている感が好きだと思った。
でも木原先生の描く青池と大河内の結末を見れないとなると気になってしまうからやっぱり「ADDICT」は必要なのだけど。
「ADDICT」の方は「FRAGILE」では、繊細で真面目だからこそ思いつめすぎていろいろやらかしてしまった。みたいに描かれていた青池が、ラストのほうで大暴走してくるのね、そこまでするほど大河内に価値あるのかな・・・・無いような。もう諦めてあげなよ。と言いたくなったし、大河内も大河内であの手紙は酷いし。もう見てられなかった。
そしてこの二人の結末はハピエンなの?わたし的にはちょっと・・・・・読み返したけど理解できなかったなぁ。甘いハピエンにしないところが木原先生らしいのだけど、うーん?二人のキャラもわたしの萌えに刺さらなかったから余計に、うーん・・・・?🤔となってしまった。
でも「FRAGILE」だけは読んで欲しいから、木原先生の本の中でやっぱりお薦めしたい一冊なのよね。メンタルに余裕があるときに読んで欲しいなぁ、と思います。
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